「お前さぁ…」

 
 十夜が口を開いた。

 

 な、何言うの?

 まさかもうするなんて言わないよね!?

 そんな、まだやだよ!!

 
 
 「お前さぁ…」

 「な、何よ?」

 「何期待してんの?」

 「は?」


 
 …期待?


 
 「いっくら俺でもまだ手ぇ出さねえよ!」


 十夜が腹を抱えて大笑いする。


 
 …なんか、ムカツクのは気のせいですか?


 
 「別に、期待なんてしてないし。」

 
 プイッと顔を横に背ける。


 ホントはちょっとしたけど…

 って、期待はしてないし!!


 「はいはい。」
 
 
 まだ笑いながら言う十夜。



 …いい加減笑うの止めろよ。



 「あーあ、腹筋イテェ。」

 「笑いすぎなんだよ。」

 
 言いながら、あたしも十夜の隣に座った。

 すると、突然あたしに携帯を差し出してきた。

 
 「ん。」

 「へ?」

 「へ?じゃねえよ。
 アド、入れとけ。」

 「あぁ、はいはい。」

 
 あたしは十夜の携帯を受け取って電話帳にアドと電話番号を登録した。

 
 「はい、登録したよ。」

 「ん、サンキュー。
 後でメール送るわ。」

 「分かった。」

 「………。」

 
 
 おい、何かしゃべれよ。



 「用事ってこれだけ?」

 「あ?うん。
 …あとこれ。」