お風呂から出ると、丁度お風呂上りの十夜がいた。


 「おせぇよ。」

 「え?
 なんでいるの?」

 「待ってた。」
 
 「誰を?」

 「お前を。」

 「え?」

 
 十夜の真っ直ぐな視線に、不覚にもドキッとしてしまった。

 
 「な、なんで?」

 「なんでって、用があるからに決まってるだろ。」

 
 十夜が座っていたソファから腰を上げた。

 
 「ちょっとお前来い。」

 
 そう言ってあたしに背を向けた。

 
 「ちょ、ちょっと待ってよぉ!!」

 
 あたしは十夜の背中を小走りで追った。



 なんなのよ、いきなり!!



 十夜の後に着いて行くとどこかの部屋に着いた。


 「ここって十夜の部屋じゃない?」

 「そっ。」


 十夜がドアを開けると言った。

 
 「どうぞ。」

 
 だけど、あたしは入らなかった。


 「………。」

 「…なんだよ。」

 「………。」


 あたしは黙ったまま十夜を見た。


 「ほら、早く入れよ。」

 「うおっ!」

 
 十夜に背中を押される。


 
 痛いんだけど!



 十夜がドアを閉めるとベットに座った。


 「………。」

 「………。」


 
 き、気まずい…

 何か言ってよぉ!!