「じゃあ、してみるか?」

 「何を?」

 「恋。」

 「…誰と?」

 「俺と。」

 「誰が?」

 「お前が。」





 は?





 「いや。
 いやいやいや。」

 「何だよ、そんなにイヤか?」



 そうじゃなくて!!



 「何言ってんの!?」

 「わかんねぇの?」

 「わかるよ!!
 何でそんなこと言うのかがわかんないの!!」

 「お前がこんな恋してみたいな~みたいな顔してたからだよ。」

 「そんだけ!?」

 「うん。」



 はぁ?



 「じゃあ結構です。
 さようなら。」

 「まぁ待てよ。」

 「何よ?」


 あたしは低い声で返事をし、振り向いた。


 「先生と生徒の恋ってすげぇスリルありそうじゃん。
 だから俺等で…そうだな、この合宿の四日間だけ恋人になる。
 もちろん、皆にヒミツで。」



 …楽しそう。

 確かに楽しそうだけど…



 「見つかったらヤバイんじゃない?」



 確かにスリルがあって面白そうだけど、バレたら十夜はクビ、あたしは退学になるんじゃないの?



 「バーカ。
 だからいいんだろ?」


 十夜が心底楽しそうな顔であたしを見た。