「言ってよ…
 あたしだけが好きなんてヤダ…
 あたしが嫌いなら嫌いって言って?
 じゃないと忘れらんないよ…」

 
 あたしは流れる涙も拭かずに言った。

 心の中で必死に言い聞かせた。



 目を逸らすな。
 
 逸らしたら、終わってしまう。

 また前に進めずに止まってしまう。


 
 上を向かせた霞の頬に、あたしの涙が伝う。


 「霞!
 あたしが嫌いならそう言ってよ!
 かすみ!!」

 
 とうとう目を瞑ってしまった時、あたしの背中は引っ張られて、何か暖かいものに包まれた。

 
 「ゴメン…ゴメン、ゴメン!」


 少し後ろから聞こえる声に、見開いた目から更に涙が溢れる。

 霞があたしの首に顔をうめて、強く抱きしめてくれる。

 状況を理解できないあたしは、震える声を押し出した。


 「か、霞…?」

 「耶奈…ゴメン…嫌いなんて思ってない。
 ホントは好きだ…
 ゲームを始めてからじゃない。
 顧問になってからずっと好きだったんだ…」

 
 初めて聞く霞の告白に、あたしの頭は真っ白になる。

 
 「…え?」

 
 
 顧問になってから…?
 ずっと…?
 ホントに…?
 
 あたしのこと嫌いってウソなの?
 じゃあどうしてそんな事言ったの?
 なんで…ゲームを止めようなんて突然言い出したの?


 
 あたしの頭の中には様々な疑問が生まれてくる。

 

 全部理由を聞きたい。


 
 だけど、あたしには何よりも聞きたい事があった。