もう少し頑張ろう…


 そう決めたものの、今だ行動を起こせずにいる自分。

 
 
 だって!
 声なんて掛けきらないし、第一目も合わせてくれないんだもん!!

 …なんて、ただの言い訳だって分かってる。

 話し掛ける勇気がないだけだ。

 今日中に決着をつけたい。

 合宿の間に、十夜がホントにあたしの事を嫌いなのか聞きたい。



 だけど、時間が過ぎるのは早いもので…


 「じゃあ皆、自分の荷物をまとめて、30分後にここに集合。」


 
 終わっちゃったよ!
 
 もう帰るだけじゃん!!



 あたしは佳耶と並んで部屋に戻った。

 ちょっと振り返って十夜を見てみる。

 十夜はこっちを向いてるけど、あたしを見てはくれなくて…

 

 もう…無理なのかな?



 そんな不安が胸を締め付ける。



 あの時話し掛けてれば…それともあの時…あの時も…



 考えればチャンスがいっぱいあって、激しい後悔を抱えて部屋に入って荷物を整える。

 お菓子やら何やらがなくなったせいで来る時より軽くなった大きい鞄を叩いて『終わったぁ!!』と叫ぶ。


 「え~…
 もう終わったの?」

 「うん!!」

 
 ちょっと得意気になる。

 佳耶が閃いたような表情をする。


 「じゃあさ、耶奈、ゴミここで捨てていいか十夜に聞いて来て。」

 「え…勝手に捨てていくない?」

 「ダ~メ!
 一応聞かなきゃ!!
 ほら、行った行った!」

 
 無理やり背中を押されて部屋から追い出される。


 「ちょ、ちょっと待ってよ!」


 あたしは廊下で叫んだ。