「あたしは…諦めるかな。
 ショックで忘れようとする。」

 「ホントに諦めるの?」


 
 その質問は、まるで十夜のことを諦めるのか聞いている様で、あたしはなぜか肯けなかった。

 

 「佳耶だったら…どうするの?」

 「ん~…あたしだったらぁ…わかんない。」

 「何よ、聞いといて。」


 苦笑いして言うと、『でもね、』と佳耶が笑って言った。


 「諦めようとしても、忘れるなんて出来そうにないからあたしは出来るだけの事をする。」

 「例えば?」

 「そうだなぁ…自分の気持ちを伝えるとか…」

 「え?」

 「自分はまだ好きだよって言うの。
 はっきり嫌いって言われてもあたしは好きって言う。」

 「………」

 「目を見て嫌いって本人の口から聞いたら頑張って忘れる。
 だけど、顔も見ないで嫌いか聞いて肯いただけじゃ諦めない。」


 佳耶が笑いながら言うその言葉は、まるで諦めないで頑張れって言われているようで、自然と『ありがとう。』って言っていた。



 もう少し頑張ってもいいよね?