強く照る日差し。

 目の前を駆けて行く部員。

 首を伝う汗。

 隣にいる笑顔の佳耶。


 全部、昨日と一緒。

 あたしと十夜の関係は変わっても、世界は変わらない。

 
 「でね、その後先輩が――…」

 「えー!
 マジで!?」

 
 他愛のない会話で盛り上るあたしと佳耶。

 佳耶は昨日、あたしがしばらくして戻ると笑顔で迎えてくれた。

 一緒に行ったくせに、別々に戻って来たあたし達。

 何があったのか気になるはずなのに、何も聞かないであたしの真っ赤な目を見て笑っただけだった。

 
 佳耶の話を聞きながら、佳耶の奥にいる十夜をチラッと一瞬だけ見る。

 こっちを見ようともせず、ずっと男子の練習を見ている。

 

 ダメだ。
 考えるな。

 もう忘れるんだから…



 必死で自分に言い聞かせるけど、やっぱり気になる。


 「ねえ、耶奈はどうなの?」

 「え?」

 
 佳耶が急に話を変えて、あたしに振ってくる。


 「どうって…何が?」

 「恋。
 もしね、好きな人に一方的に別れを切り出されたら、どうする?」

 
 
 心臓が…速くなるのを感じた。



 「それって…どんな風に?」

 
 平静を装って聞く。


 「ん~とぉ…突然。
 ホントに突然。
 ラブラブだったのに、ある日急に、みたいな。」

 
 
 それって…あたし達のこと…?


 
 知ってるはずない。

 そんなの分かってるけど、その質問があまりにもあたし達と一緒だったから、悪戯が見付かった子どもみたいに胸がドキッてした。



 偶然だよね…?