高成とは中学校からでよくケンカをして冗談で殴り合いをしている。

 今回も例外なく、高成をもう一度殴ろうと腕を振った。


 「郷原!」

 「へ?」
 
 「ちょっと来い。」

 
 腕を上げたとこで霞に呼ばれる。

 行き場のない腕を下げて、佳耶に

 
 「ちょっと行ってくるね。」

 
 と言ってさっさと何処かに行く霞を追おうとすると、

 
 「最近、よく呼ばれるね。」

 
 と、佳耶が言った。


 
 ドキッ!!



 心臓が高鳴る。


 「ホント、何でだろうね。」

 
 苦笑いしてあたしは走って見失いそうな霞を追った。



 霞の奴!
 呼び出しすぎだよ。

 佳耶、不思議がってるし!



 前の方で霞が立ち止まる。

 あたしは霞の隣に行った。


 「霞、何?」

 「………」

 
 声を掛けてみたけど、霞は下を向いて何も言わない。


 「霞?」


 もう一度呼んでみたけど、あたしの方を見ようともせず、顔を背ける。

 
 「ねえ、霞?
 どうしたの?
 …なんか…変だよ…?」


 そう言って袖を引っ張ろうと腕に触れた…瞬間。


 バッ!


 と、霞があたしの腕を払った。




 ――え?



  あたしは、霞に払われた腕を見て立ち尽くした。

 
 「か、霞…?
 どうしたの…?」


 声が震えてるのが自分でも分かった。