「あ、耶奈。
 起きたの?」


 あたしは握ってた霞の袖を離すと、笑顔で耶奈に近付いた。


 「うん。
 なんかマジ寝しちゃってた!」

 「お腹空いたでしょ?
 取っといてもらったから。
 ちょっと待ってて。」

  
 そう言って取りに行こうとしてくれる。

 
 「いいよ。
 自分で行くよ。」

 「いいから座ってて。
 今取りに行くから。」

 
 佳耶が満面の笑みでスキップでもしそうな勢いで行ってしまう。

 

 …大嵜先輩と何かあったな。



 あたしはこけないかと心配でじっと佳耶を目で追ってた。

 佳耶がおぼんを抱えてる時に霞が小声で

 
 「じゃ、行くから。」


 と言った。


 「え?
 食べないの?」

 「俺もう食ったから。
 ゆっくりして来いよ。」


 それだけ言うと、霞は早歩きで食堂を出て行った。



 そっか…考えてみれば帰ってきたばかりって言ってももう2時半だもんね。

 普通もう食べてるよね。



 あたしが霞の消えて行った壁を見ていると、佳耶がおぼんに乗ったご飯を持って来てくれた。

 
 「はい。
 どうしたの?」

 「ううん。
 何でもない。
 それより、大嵜先輩と何かあったでしょ。」

 「え!
 分かる!?」

 「すっごくね。」

 「えへへー。
 実はね…」


 佳耶が顔を赤らめて話し出す。

 ホントに嬉しそうで、心から佳耶の恋が叶えばいいのにって思った。

 
 「やったじゃん!
 大嵜先輩、佳耶に気があるんじゃない?」

 「え~!
 まさかぁ!」


 両手を赤い顔の前で振って否定する。



 お世辞とか抜きで、こんなにかわいんだし、話聞いてる限りじゃ両思いっぽいんだけどな…