自分の部屋に戻ると佳耶はまだ寝てるらしく、部屋は真っ暗だった。

 実は、昨日霞の部屋に行く前に佳耶が


 「朝帰りになるようでも連絡いらないからね。」


 そう言っていた。



 ホントに朝帰りだって思ってたの?
 
 いや、実際その通りなんだけどさ…



 あたしは起こさないように自分のベッドに入って、今更だけど携帯で時間を確かめてみる。



 5時18分



 まあ、あんな時間に寝たらこんな時間に目が覚めるわな。
 
 眠くないし…どうしよっかな。


 
 そう思って携帯を閉じようとすると、小さい音だけど、音楽が流れ出す。

 佳耶を起こしてはいけないと誰からかも確かめず電話に出る。


 「も、もしもし!」


 囁くような小さい声で言って、音を立てないようにベッドから出る。


 「耶奈?」


 あたしの心臓は聞こえてきた低い声に一気に高鳴った。


 「か、霞?」

 「そ。
 どっかの誰かが隣で暴れるから目が覚めちゃってさ。」

 「あたしのせいなの!?」

 「隣で暴れたのはお前だろ。」

 「…そうだけど…って、霞が離してくんなかったからじゃん。」

 
 反論しながら、あたしは部屋のドアを音を立てないように静かに開けて、外に出た。


 「まあ、それは置いといて…時間が余って暇なんだよね。」

 「知らないよ。」

 「どうせお前も暇だろ?」

 「まさか。
 あたしは忙しいですぅー。」

 「散歩に?」

 「え?」

 
 突然聞こえた明らかに機械からじゃない声にあたしは周りを見回した。


 「朝から散歩ってお前はばあさんか。」


 携帯を閉じながら霞が笑ってこっちに向かって来る。

 あたしも携帯からゆっくり耳を離してそこに突っ立ったまま霞に言った。

 
 「な、なんで居るの?
 朝は用事あるって昨日言ってたじゃん。」