「お疲れ様でしたぁ」の声と同時に、部員達に手作りレモンティーを手渡す。
あたしの名前は、浅倉リカ O県にある私立高校の2年生だ。
部活は、ずっと憧れだった野球部のマネをしてる。ケド…憧れと現実とは結構違う。
毎日、お茶の用意や冷やしタオルの用意、ボール磨きやボール出し。備品の数を数えやスコアのチェックなど、雑用ばっかで結構大変。
マネージャーって、ニコニコして「はい。タ・オ・ル(ハート)」
とか涼しい顔してしておけばイイと思ってたのは、大間違いだった。
汗はかくし、ジャージで走り回らないといけないしね。
ケド、部員の子や先輩とも仲良くやってるし、部活は結構楽しい。
ただひとつの難点は、部活の終了時間が遅い事。N県からO県へ通っているあたしは、通学に2時間かかるのだ。
中学時代、早く高校を決めたかったあたしは、N県よりも試験が早いO県の高校を選んだ。電車通学にも憧れてたし、なによりココの可愛い制服が着たかったのだ。
ブレザーなのに、襟はセーラ、Burberrysモドキのチェックのスカートは、中学生のあたしには、すごく眩しく素敵に見えた。
あの時は、通学がこんなに辛いなんて考えてなかったなぁ…