貴也の事が頭から離れず

私は落ち込んだまま会議室へ入った。


「……………長曽我部さん。」


「あれ、はえーな。

あと20分あるけど。」


「うん、暇だから。

それよりさっき貴也と赤堀さん見たよ。」


「え?なんで?」


「なんでって……会社の指示でしょ?」


「いや、あいつもう嘘は嫌だからやめるって。

そんなのなくても映画ヒットさせるから

っていうから俺も社長も許可したのに。」


「………じゃあ本気なんじゃない?

すごい楽しそうだったよ。」


「……………なんだ、あいつ。

だから美鈴はそんな落ち込んでるわけね。」


「……………あんな顔、初めて見た。」


私はもう嫉妬で狂いそうだった。


「こうなったら景気よく

失恋の歌でも書こうかな。」


「どこが景気いいんだよ。」


「まだ曲できてないでしょ?

バラードにさせてよ。」


「はいはい。」


それから私はパソコンを出し

歌詞を書き出した。