「お願い!智莉。私の頼み聞いてくれる?」



朝、登校してきた私に、おはようの挨拶もなしに、手を合わせて頼み込む由宇。

「……何。頼み事って」


渡り廊下で話を聞く私。


「今度の日曜、皆で遊びに行かない?」
「…皆?」
「私と、裕也君。結城君と智莉でさ。」



その一言に。何かに気付いた私。


…そういう事ですか。つまりはダブルデート。



「…普通に誘えばいいじゃん?」
「二人だと、緊張するの〜。ね、ね、お願い!!」



手を合わせては何度も拝まれる。


私は仏じゃないっての。




…でも、まぁ親友の頼みだ。聞いてあげるとするか。


「…人数、増えても構わないよね?」
「?うん。いいよ!裕也君が来てくれるなら」






本当に嬉しそうな顔。



私は、ご機嫌な由宇の後ろについて教室に入った。


「おはよ」
「おはよう」


それと同時に裕也と結城君が挨拶をくれる。


「おはよ」
私は挨拶を返すと、席に座った。



すると、由宇が何やら口をパクパクさせた。


…あ。