「裕也？」

その言葉に我に返る。


「…なっ？俺は近くにいるだろ？」

俺は、離れると智莉の頭をぽんぽんと軽く叩く。

「んー…確かにそうなんだけど…」

何か不満そうな智莉。


「何か不満？」
「…ううん。じゃあ台本の読み合せ始めよっか。」
「…あぁ、そうだな。」


何かはぐらかされた…？






俺、やっとわかった。
ってか今、気付いた。



俺、智莉が好きだ。
だから、宏樹に苛ついたんだ。



智莉はどうだろ…？









好きなやついないって言ってたしな…。
少なくとも、俺は『幼なじみ』止まりって事で。


それ以上でも、それ以下でもない。







小さな時からずっと、一緒にいる大切な幼なじみ。




近くにいすぎたから、気付けなかった。



いつも、一緒。
その安心感があって。


離れるなんて事考えた事なかった。
これからもずっと一緒だって思ってたんだ。



…智莉もそう思ってくれてた？だから、不安に思った？





…なぁ、少しは期待していいかな？