「風邪、長引かなくてよかった。もし何日も瀬戸さんに会えないなんてことになったら、つまらないだけじゃなくて、寂しくなっちゃうから」


屈託なく笑って、なんの恥ずかしげもなくそんなことを言えてしまうところは、さすが水無月くんだ。
そのセリフと完璧にイケメンな笑顔に赤面し、けれど水無月くんの残念な部分を垣間見るたびに悲しげにため息をつく女子達の姿が目に浮かぶ。
私はもう、その残念なイケメンっぷりには慣れてしまった。


「やっぱり瀬戸さんは、僕のベストパートナーだね。初めて会った時から、何となくそんな気がしていたんだ!」


ベストフレンドではなくパートナー。
それは、水無月くんにとっての私が、友達以上の存在ということなのだろうか。

友達以上……友達の上と言ったらなんだ、親友か?
水無月くんと親友……その響きは、何だか怖い。ろくなことがなさそうな気しかしない。


「今日の放課後は何をしようか、瀬戸さん」


私が密かに震えあがっていることなんて、知る由もない水無月くん。
嬉しそうな、楽しそうな、なんの曇りもないその笑顔は、やはりただのイケメンにしか見えない。
中身は大変残念なことこの上ないけれど。