「はっ?経営移管?それってどういうことですか?」
時は1988年、拝啓、いつか生まれる上官様へ。
今日の空は滲んで見えます。
「ってまあ、そういうことになったから、よろしく。」
俺をいきなり直江津に呼び出た信越がさらっと放った言葉は老体にはいささか衝撃的すぎた。「まさかな…横軽が廃止されるのは聞いていたが軽井沢~篠ノ井までが経営分離されるなんてそん…」
俺の言葉は信越の穏やかな声に遮られた。
「当然なんだよ…だって、整備新幹線であの…北陸新幹線?を建設する条件って平行在来線を廃止する事だろ?廃止されずに経営移管されただけ良かったと思わなきゃだし、北陸新幹線は皆に望まれてることだから…。」
俯いた顔。わざとらしい笑いと、信越の声は震えていた。
「…だから、だから当然なんだよ。それに俺は、俺は……。あ、ワリい、もう俺の列車来るわ、じゃあまた後でな。」
そう自分に言い聞かせるように言うと、信越はマフラーを翻して逃げるようにその場を去ってしまった。
「えっ?おい、信越!」
―また俺は、伝えたいことを伝えられなかった―
「はぁ…そう急くなよ、信越…」
時は1988年、拝啓、いつか生まれる上官様へ。
今日の空は滲んで見えます。
「ってまあ、そういうことになったから、よろしく。」
俺をいきなり直江津に呼び出た信越がさらっと放った言葉は老体にはいささか衝撃的すぎた。「まさかな…横軽が廃止されるのは聞いていたが軽井沢~篠ノ井までが経営分離されるなんてそん…」
俺の言葉は信越の穏やかな声に遮られた。
「当然なんだよ…だって、整備新幹線であの…北陸新幹線?を建設する条件って平行在来線を廃止する事だろ?廃止されずに経営移管されただけ良かったと思わなきゃだし、北陸新幹線は皆に望まれてることだから…。」
俯いた顔。わざとらしい笑いと、信越の声は震えていた。
「…だから、だから当然なんだよ。それに俺は、俺は……。あ、ワリい、もう俺の列車来るわ、じゃあまた後でな。」
そう自分に言い聞かせるように言うと、信越はマフラーを翻して逃げるようにその場を去ってしまった。
「えっ?おい、信越!」
―また俺は、伝えたいことを伝えられなかった―
「はぁ…そう急くなよ、信越…」