「卯月さん、お腹の赤ちゃんが、胎動のように伝わるしゃっくりをしてます。どういうことか、以前お話したと思うのですが、覚えてないですか?」

 眉間にシワを寄せ、深刻な口調でお医者さんが言った。

 私にはそのお医者さんの言葉に胸に深く突き刺さった。

 煙草を吸うとお腹の赤ちゃんは母体にも胎動のように伝わるしゃっくりをするらしい。

 これは以前の検診の時に言われた言葉。

 私がタバコを吸っていることをこれでお医者さんは察知し、そして私は怒られた。

 この言葉が意味すること。

 それは"発育不良"の可能性があるということ。

 まだお医者さんの口から言われた訳じゃないけど、さっきのお医者さんの言葉と、重々しい雰囲気から嫌でも分かる。

 私の不安が的中してしまったのである。

 私は体の震えが止まらなかった。

 分かっていたことで、私自身も分かっていたはずなのに、どうしてこんなにも悲しくて、辛いんだろう……。

 こうなる可能性があると指摘されたのにも関わらず、タバコを口にしていた私が全て悪い。

 それなのに、なんでこうなる前に止められなかったの!?