太陽が眩しいと思うほど日照り、その日差しが私の体をほてらす。

 体全身から夏を感じる、真夏の八月のこと。

 私のお腹の中には小さな小さな命が授かっていた。

 その小さな命は、九月に出産を控えている。

「卯月、またタバコを吸っているのか? 体の赤ちゃんに悪いぞ」

 暑さのため、一瞬意識が飛んでしまっていたが、一人の男性の声で我に返った。

 ふんわりとした和やかで、優しい笑顔で私を見つめていたのは、私の彼氏である桜井恭平君だった。

 妊娠中である私だが、気付けば人差し指と中指でタバコ挟み、それを口にしていた。

「私、また無意識にタバコを? 赤ちゃんに悪いって分かってるのにな……」

 私はヘビースモーカーで、妊娠初期からもずっとタバコを吸ってしまっているの。

 頭では赤ちゃんに良くないって分かっているんだけど――。

「我慢できないかも知れないけど、タバコは本当に止めろよ? 出産だって、結婚だってもうすぐなんだしさ」

 重々しい雰囲気を出しながらも、軽く笑いながら、恭平が警告をする。