きちんと説明しようとしてるのに、羽田は私に冷たい視線だけを向けて歩き出した。

背中を向けて歩き出す羽田を追いかけるように、慌てて歩調を合わせる。



「あの…」


声を出しても振り向かない。
私が副社長と話をしてたのが、そんなに気に入らないことなんだろうか。


「ねぇ、羽田くん……!」


堪らなくなって腕を引っ張ろうとしたら、勢いよく振り解かれた。


「あっ…!」


声もなく立ち竦んだ。
振り返った羽田は、一瞬しまった…という表情を浮かべたけど、すぐに渋い顔をして……


「俺、ちょっと顔見に来ただけ。じゃあな」



ペソを預けて走り出す。


羽田の行動も気持ちも何もかも計り知れなくて、私はただ、呆然と彼の背中を見つめたーーーー。