家にいる時しか散歩にも連れてけないし、外の空気を浴びれば少しくらい気分も変わるかも。


(あの朝みたいに、羽田がいるかもしれないしさ……)



淡い期待を胸にいつもの散歩道を歩く。
当然のことながら羽田はいなくて、私はガクッと項垂れた。



「クゥゥゥゥン……」


ボールを投げて欲しいと催促するペソに合わせ、仕方なく放ってやる。
リードの紐をグーンと伸ばし、ひたすらボールを追いかけるペソ。

嬉しそうに元気一杯で、本当はそれを見て心が浮き立つ筈なのに。


「はぁぁぁ……」


深いため息しか出てこない。
羽田との日常は、私に何らかの変化をもたらしてるみたいだ。


「今日、仕事引けたらLINEしてみよ。『迎えに来て』でも『帰っていい?』でもいいから流す!」


そう心に決めて、ようやく少し元気になった。

ペソを思いきり運動させて家に帰る途中、思わぬ人と遭遇した。