「う〜〜ん……」


液晶画面とにらめっこすること5分。


「キャン!キャン!」


「あっ、ボールね。はい…」


投げもせず口に手渡そうとする私にペソが抗議の声を上げる。


「キャン!キャン!!」


「あ……ごめん、ペソ…」


ほらっ…と放ってやると、勢いよく走って追っかける。

以前の私ならそれを見て、仕事のストレスもちょっとしたモヤモヤ感もどっかに吹っ飛んでしまったけど………


「はぁ〜〜」


逆に気が重くなるってどういうの。

やっぱり、私、昨夜何かやらかしたのかな。

帰ってこなくてもいいって、羽田が思うようなことを…。


「こんなLINEの文字だけじゃ言いたいことも考えてることも分からんよぉぉ」


ついでにこのキスマークは何の意味⁉︎
悪戯にしては度が過ぎてるし、嫉妬にしては何故だか謎だし。


(私が何かしたのならそう言って!こんな中途半端な形で放り出されたら変に落ち込む〜)


ボールを咥えて戻ってきたペソを抱きしめる。

ドッグフードとジャーキーの香りは、これまで一番の癒しだった筈なのに、今の私は羽田のボディソープの香りを嗅ぎたいと思ってる。


……電話をしたら出てくれる?
それともこのLINEと同じように、私のことを拒否するの⁉︎



「なんか凹むなぁ…。こんなことばっか続くと……」


あの美人と出会ってからこっち、どうも羽田としっくりこない。