菅野にしてはマトモな女子スタイルだと思い、今日を楽しみにしてたんだな…と気づかされる。



(ごめんな……)


人差し指の先に髪をクルクルと巻きつけながら謝った。
解熱剤の効果は薄れてなかったらしく、そのまま眠りに落ちてしまったーーー。






「ぎゃー!どうしよー!!」


大声で目を開けたのは、それからどのくらい経ってからか。
気づくと足元にある窓の外は暗くて、その側に立ち竦んでる菅野は両手の先を握りしめ、左右からこめかみを挟み込む様にしている。
俺の熱は朝に比べるとかなり下がっているらしく、代わりに多量の汗が滲んでいた。



「ヘックション!!」


急に来た寒気にブルッとしてクシャミが出ると、菅野が大げさに驚いて走り寄ってきた。



「大丈夫⁉︎ 寒い⁉︎ 」


慌てて布団を掛けようとする手を止め、「平気だから」と呟いた。


「悪いけどさ、着替え取ってくんね?解熱剤の効果で汗すごいから」


クローゼットの中を指差して、下着とタオルと部屋着のある場所を教える。
バタバタ…と引き出しを開けては閉めして、菅野は言われた通りの衣類を取り揃えて戻ってきた。


「早く着替えて!風邪引くから!!」


つーか、もう引いてるんだけど…と思いながら上着を脱ごうとする。


「くっ……よっ………は……っと……」



汗が付いた衣類はベッタリと肌に張り付いてるような感触。
多量に吸い込まれてるせいで、いつも以上に重たい。