「知り合いなの?」と佐藤ちゃんが聞く。
「まさか…」と答える私の耳に、その人の声が聞こえた。
「お久しぶり。仕事変わったの?」
いきなりな質問にキョトンとしてると、男性は……いや、副社長さんは笑ってこう言った。
「忘れちゃってるのも無理ないか。君が脚立から落ちそうになってるの助けたのって、だいぶ前だからね…」
「えっ⁉︎ 脚立……?」
この店に来てから上がったことはない。
脚立を使うほどの高い棚は、この店にはないから。
(…と言うことは、前にいた店のお客さん……?)
脚立に上がるのは極力止せと羽田は言った。
上を見上げてると酸欠っぽくなって、貧血を起こしてしまうからと言うのが理由だった。
だから仕事を変わる前は、殆ど脚立には上がらなかった筈だけど……
(落ちそうになったのっていつだっけ。羽田が助けてくれたのが2回あって、もう一度は確か誕生日の翌日か何かで……)
羽田と派遣のことで言い合いになって気まずくなった誕生日の後、お客さんに頼まれて最上段の本を取ろうとして脚立に上がった。
あの時も目一杯押し込まれてた棚から本を引き出そうとして、酸欠っぽくなって目が眩んで………
「……あっ!」
「思い出した?」
頭の上から聞こえる声に振り向く。
あの時も、この笑顔の人に体を支えてもらって……。
『気をつけて。落ちたら大怪我するところだよ』
優しく声をかけられた。
「まさか…」と答える私の耳に、その人の声が聞こえた。
「お久しぶり。仕事変わったの?」
いきなりな質問にキョトンとしてると、男性は……いや、副社長さんは笑ってこう言った。
「忘れちゃってるのも無理ないか。君が脚立から落ちそうになってるの助けたのって、だいぶ前だからね…」
「えっ⁉︎ 脚立……?」
この店に来てから上がったことはない。
脚立を使うほどの高い棚は、この店にはないから。
(…と言うことは、前にいた店のお客さん……?)
脚立に上がるのは極力止せと羽田は言った。
上を見上げてると酸欠っぽくなって、貧血を起こしてしまうからと言うのが理由だった。
だから仕事を変わる前は、殆ど脚立には上がらなかった筈だけど……
(落ちそうになったのっていつだっけ。羽田が助けてくれたのが2回あって、もう一度は確か誕生日の翌日か何かで……)
羽田と派遣のことで言い合いになって気まずくなった誕生日の後、お客さんに頼まれて最上段の本を取ろうとして脚立に上がった。
あの時も目一杯押し込まれてた棚から本を引き出そうとして、酸欠っぽくなって目が眩んで………
「……あっ!」
「思い出した?」
頭の上から聞こえる声に振り向く。
あの時も、この笑顔の人に体を支えてもらって……。
『気をつけて。落ちたら大怪我するところだよ』
優しく声をかけられた。