佐藤ちゃんの言葉に頷き、2人の様子を見守る。
私達はパートの身分だから給料や時給をカットされることはない。

でも、店長や正社員の人達にとってはヒヤヒヤもの。
損害額次第では、自分たちの立場そのものも脅かされる。

店長の深いお詫びを受けてる副社長さんは、幾分困った様子で俯いてる。
目の前にいる人に向かって、どんな言葉を浴びせるつもりでいるんだろう……。



ふ…と羽田のことが頭に浮かんだ。

店長になると聞いた時はスゴいことだとは思ったけど、今一つ実感も湧かなかった。

勤めてた店舗と本部を何度も行き来するようになり、そのうち店長研修も始まってお店に来なくなった。
あれ程毎日のように会えてた羽田に会えなくなって寂しかったけど、それでも羽田の為だから…と思って我慢した。


でも、今の店長の姿を見てるとヒヤヒヤする。
羽田の立場の重さに、自分の方がビクつく。

赤字を出したらアウトだと言ってた。
そしたら、どんな責任も言い逃れできない……って。


経営からは確実に外される。
外されるだけならいいけど、下手するとクビ。

佐々木店長の勧めもあって店長になれたから、絶対に失敗は出来ないんだ…と必死になってた。


そんな羽田の部屋に転がり込んで、私はこれから彼にとってどんな存在になればいいんだろう。


元カノよりも羽田に近づいていくには、一体どうしたらいい………?