「ふざけんな!どこの世界に彼氏よりも犬選ぶ女がいるよ!」

「でもペソは特別だもん!一緒に居ないと困るっ!」

「誰が⁉︎ 」

「私が…!」


啖呵切ってハッとした。
目の前にいる羽田は言葉を失くして茫然としてる。

今、私、ペソが居ないと困るって言った……。
じゃあ、目の前にいる人は居なくていいの………?


「………俺、居なくても良さげ?」


口を開いた羽田が呟いた。


「ペソが居ればいいなら俺は居なくてもいいんだ……」

「え……」


勝手に答えを導き出してる。
起き上がった羽田は、少しだけ潤んだ瞳で私のことを見つめた。
泣きだしそうな感じはないけど、それなりにショックは受けてるみたい。



「ペソが居ればいいんだろ。だったら俺なんて要らねーじゃん……」


えっ⁉︎ えっ⁉︎
これって演技⁉︎
それとも本気で言ってんの⁉︎


「俺なんて所詮ペソの次なんだ…。飼い犬の次の立場なんて俺ヤダからな。そんなのなら美結と付き合ってる意味もねぇよ…」


呆れてる顔から真剣な表情に変わり始める。
潤んでた瞳は少しだけ吊り上がり、反対に唇の端は下がっていった。


やってらんねーな…と呟きながら向きを変え、ベッドの下に足を下ろす。
膝に腕をついて大きく項垂れた羽田は、大きなため息を一つこぼした。


その様子をハラハラしながら見守る。

背中を向けてた羽田は立ち上がり、そのままの姿勢で私を呼んだ。