こそこそ…と顔に触れる毛の感触。

ペソってば、また私の布団に入ろうとしてる……。


「もう、ペソってば、ダメだって言うでしょ〜〜!」


擽る毛を押しやった。
ペソにしては重い額の感触に、(あれ?)と違和感を覚えて目を開けた。



「……誰がペソだよ」


覗き込んでるのは羽田の眼。
迷惑そうに眉をひそめて、ブスッと頬を膨らましてる。


「……ご、ごめん!つい、いつもペソが起こしに来る時の習慣で……」


慌てて手を離し、ぎゅっと毛布に包まれた。
羽田は寝転がったままの体勢で、呆れるように息を吐く。


「ペソか……。お前の生活って、そればっかだな……」


他はナシなのか?と聞かれる。
そう言われても答えに困る。

いつも家にいる間はほぼペソが側に居て、私が相手をしてやってるから。


「ここに住みだしたらペソは居ないんだぞ⁉︎ そんなので耐えられるのか⁉︎ 」

「えっ…無理っ!…って言うか、ペソがここに住まないなら私も住まない!」

「はぁ⁉︎ 」

「ペソと離れて暮らすなんて私の中では考えられないもん!」


20歳の頃からずっと同じ部屋で寝起きしてる。

どんな状況でいる時も、常に心を癒してくれる存在。

ある意味、羽田よりも大事。
そう言ったら大袈裟だけど。


「だったらどーすんだよ。ここ動物禁止だぞ!」

「ええ〜〜っ⁉︎ じゃ、やっぱり一緒には暮らさないっ!」