ゴロンと向きを変えた羽田は、そのまま大きく息を吐いた。
要らないことは何も言わず、静かに息を潜めてる。

いきなり泣きだした私に驚いて、呆れ返ったのかもしれない。
こっちはボロボロ…と流れ出てくる涙を堪えきれずに、大袈裟なことになってしまっただけなのに。


(こんなの最低……一番最悪なパターンだ……)


好きな彼氏を目の前にいきなり泣くなんてどうかしてる。

襲い掛かれた訳でもなければ何でもない。


ただ、優しく髪を撫でられただけなのに………。




きゅぅぅぅん……と胸が軋む。


こんなのやっぱり変だ。
私、どうかしてる……。


(やだ、もう…。どうして一緒に暮らすとか言っちゃったんだろう……)


同じベッドに寝てるだけで涙が止まらなくなる程緊張するのに。

一瞬だけしか見てない羽田の裸は忘れようとしても脳裏から離れてくれないし。


そもそもこんな近くにいるのに近づけない。

どこかが触れてる訳でもないのに、妙に体がくっ付いてる気がする。



……全部、熱のあるせいだ。

……羽田がお風呂上がりで熱い体をしてるせいだ。

だから熱と熱がぶつかり合って、のぼせてるだけだ。



(そういうことにしておきたい……。って言うか、今はそう思わせといて……!)


他の原因もアリかもしれないけど、取りあえずそういうことにして休ませて。

とにかく今はグッスリ寝て、明日のことは明日また考え直すっ!


羽田と一緒に暮らすことも、家族に話すことも全部明日!


それから、もっと先のこともーーーーー