ぽろっ……と零れ落ちた涙に絶句した。

慌てた菅野は毛布を引っ張り上げ、必死で目頭を拭う。

ぐすっ…ぐすっ…と鼻水をすする音がする。

子供みたいだな……と言うよりも、完全に子供だな。これは……。



「美結……」


まさかここまでとは思わなかったよ。
同じベッドで寝るだけで泣かれるとは予想外。

男知らずにも程がある。…と言うか、俺が恋愛処女を甘く見過ぎてた気がする。


こんなヤツに結婚しねーかなんて、時期早々もいいとこだ。
それよりも先ずは俺自身に慣れさせねーと。



「……何もしねーから寝ろよ。おやすみ」


チューの一つくらいしてやりたかったけど、どうにもそれもバツな気がする。


菅野は俺の声を聞いて一瞬だけ静かになった。
でも、また直ぐに啜りだした。


慰めようにもどうしていいか迷う。

髪を撫でたら泣かれたし、抱きしめても泣かれそうな気がする。

そもそも今拒否られたら立つ瀬ねぇ。それだけは御免被りたい。