てっきりグチャグチャかと思ってた衣類は、山折りの部分が上に揃えて並べてあった。
同じくらいの大きさに整えられた服は探し易くて、誰に習ったのか…と、返って聞きたくなるくらいだった。



(家庭的なんだな……)


乱暴な口調の男とは思えない几帳面さに驚かされた。
食事が済むと、羽田はわざわざ布団のカバーまで替えようと言ってくれた。


「昨夜、美結にやらせようかと思ってたんだけど……」


四隅を止めてるボタンを外しながら手慣れた調子で外していく。
それを毛布に包まった状態で眺め、結婚したらこんな事も手伝ってくれたりするのかなぁ…と考えた。



(………はっ!ダメダメ!これじゃあ羽田の思うツボだって……!)


結婚なんて考える前にステップいろいろ踏まなきゃダメじゃん!
そもそも私、まだキス以上のこと羽田にさせてないし…って言うか、この3ヶ月間まともにデートできる時間もなかったじゃん、私達!


ぶんぶん…と頭を横に振りつつ出てくるため息。

この風邪が治って羽田の部屋から出れば、今度またいつゆっくり会えるだろう…と思ってしまう。

バサバサ…と布団を敷き直す羽田の背中を見つめながら、もう少しこの時間が続いて欲しいな…って気がしてくる。




「…ねぇ……羽田……くん……」


くんを付けて呼ぶ時は、特別な思いがある時。
しっかり頭の中で考えもしないうちから、私はぼそっと言葉にしていたーーー。



「私達……一緒に暮らす……?」