そう言って顔を出すと、目の前にいた羽田はふっ…と笑いかけてくれて。


「俺が美味しいもん作ってやる。ちょっと待ってろ!」


そう言い放ってキッチンへ向かった。

そして、今の「あーん!」に至ってるってワケ。



「ーーだから、1人で食べるからいいって!羽田は自分の分を食べて。食欲なくてもどうにか食べれるだけ口にするから!」


お願いだから勘弁して…!と頼み込む。
お互いにガンコな私達は、一歩も譲らず見つめ合った。



「…可愛くねーな、お前……」


ほらよ…と言うか、やっと仕方なく手渡されるマグカップ。
スープの中に浮かんでるのは、スライスされた玉ねぎとベーコンとコーンのみ。

ずず…っと口に含んで味わう。

うん、多分きっと私が作る物より美味しいと思う。



「……羽田って意外。料理とかするんだね……」


余計な一言を加えて褒めると、自分の皿を手に持った羽田が呆れた。


「今時料理くらいできねーとモテねーだろ。必須、必須!」


ははは…と笑ってる。
料理だけじゃなくて実は掃除も洗濯もきちんとしてるのは、昨日この部屋に入って気づいた。


ワンルームの部屋の中はキレイに整えられていた。
大した量の家具も衣類もないから片付けるのはラクなのかもしれないけど……。


(でも、引き出しの中もキレイだったし……)