きゅん…と胸が疼いて手を伸ばした。
首に巻きつけた腕の中で、羽田がほぅ…と深い息を吐く。


「…寂しかったのか?」


そう聞かれて頷いた。
熱もまだあったし、心細かったのは事実。
少しだけ顔を離した羽田の唇が寄ってきて、きゅっと瞑った目と目の間にキスされた。


「……ヨシヨシ」


まるで私がペソになった様な気分だった。
後ろ頭を優しく撫でつけ、羽田はぎゅうっと抱きしめてくれる。

『結婚しねーか?』と言われた言葉を思い出して、それもいいかも…と一瞬だけ思った。

でも、ごそりと動く羽田の手にビクついて、直ぐにそんな気分は消え去った。



「な…何すんの!」


驚いて腕を解いて後ずさる。
チッ…と舌を打ちながらも、羽田は直ぐに離れていった。


「折角いい雰囲気だったのに……お前、ムードもへったくれもねーな……」


恋愛処女のガキだから仕方ねーか…と呟き着替え始める。
その仕草を見つめない様に、慌てて布団の中に潜り込んだ。


布団の中では、ドキドキと胸が張り裂けそうなくらいに音を立てる。
その音を耳奥で宥めすかしながら、羽田の体調を気にした。


「熱…大丈夫なの?」

くぐもった声に反応するかの様に、羽田は近づいて答えた。


「仕事してたら風邪引いてたのも忘れた。まだ体ダルいけど平気。それよりお前、何か食ったか?」


「何も…あっ、羽田の買ってくれてたイチゴラテ少しだけ飲んだ。美味しかった…。ありがとう……」