1人じゃないんだ…と思えて、何だかすごくホッとしてるーーー。




「……美結」


部屋から出て行った羽田が戻ってきた。
ごそごそと布団から顔を覗かすと、ピタッと冷たいものが額に引っ付いた。


「ひゃっ!」


ぎゅっと肩が上がる。
その様子を見て、羽田が小さく謝った。


「ごめっ…」


思わぬリアクションだったみたいで、心配そうな顔してる。
その眼差しに愛犬を思い出し、「ううん」と首を横に振った。


「ちょっとビックリしただけ。ありがとう、羽田……」


額に乗った冷却シートを触った。

くんを付けるのを忘れたのは声を出すのもできないくらい顔を覗き込まれてたからで、その熱い眼差しに胸がきゅんと鳴って同時に動悸が速まった。


近づいてくる顔に目を閉じる。
キスなんかヤバい…と思ってる私の額に、羽田の額が重なった。



「冷てぇけどやっぱ熱いな…」


体温を計りたかったみたいで、さっさと顔が離れていく。
その途端に拍子抜け。
それを察知したように羽田の顔がニヤついた。


「キスされると思っただろ」


ドキン!とする様なストレートな言葉にドキマギする。
ぎゅっと両手で布団を掴み、慌てて口元まで持ち上げた。


「だ、誰がっ…!」


明らかに動揺しきってる私の顔を見て、羽田は可笑しそうに笑い声をたてる。
その横顔をぼぅっとしながら見つめ、悔しそうに奥歯を噛み締めた。