汗のニオイがする毛布に包まると、やっぱり胸がきゅん…とする。
やってる事に一々胸がキュンキュンしてばっかで、我ながら嫌になってしまう。


(もう、バカ…。何で私ばっか緊張するの…)


羽田は病人なんだって。
それを証拠に、さっさと寝息たてて眠ってるじゃん。
私も寝ればいいんだって。
明日も仕事が待ってるんだから……。


バサッと毛布を引っ被った。
汗のニオイがする中で、目は冴えていく一方。


(寝なきゃいけないって分かってるけど……でもやっぱ眠れなぃぃ〜〜!)


とうとう毛布を引き剝がして、自分の着てきた春物のコートを上に羽織る。
汗のニオイから解放されて、やっと少しホッとできた。



(これでいい。これで寝よ…)



落ち着きを取り戻して目を閉じる。

汗のニオイとフリージアの香りが入り混じった中で、いつしか浅い眠りに落ちていったーーー。