背中を向けて眠る羽田の後ろ頭を見つめた。
さっきは目の前に顔があって、ひどく驚いてしまったけど。


(良かった……ベッドインさせられずに済んだ……)


安堵感に浸りながら部屋の明かりを落とした。
薬が効いてるせいか、羽田はすぐに寝息をたて始める。



(早っ……)


ついさっきまで憎まれ口を叩いてたのに、あっという間に眠れるなんて羨ましい。
こっちは下手に昼間寝たもんだから、寝ようと思っても目が冴えて眠れないのに。


(テレビも点けるワケいかないし、退屈〜〜)


こんな時ペソがいたらいいのに。

ボール転がして遊んでやるだけでも気が紛れるのに……。



「今日はいい子にしてるかなぁ……」


ついさっき間違えて羽田の頭を撫でてしまった。
首筋を撫でながら、今日はえらく太いなぁ…と不思議に思って目を覚ましたらヤツだった。


中心部分が焦げ茶色の目と目が合って、驚きよりもドキン!とした。
ビクビクしながら後ろへ引き下がりながら、何で私の部屋にいるの〜?と寝ぼけてしまった。



(完全にアホだ。私……)


間抜け過ぎもいいとこ。
これじゃー羽田も呆れる筈だよ。


「色気も何もない……か」


捲り上げた袖を眺める。
ブカブカの袖口は一応細めな感じの腕を更に細く見せてる。
同じくらいの身長の筈なのに、やっぱ羽田が男なんだな…って気づく瞬間。


きゅん…と胸が熱くなる。

この3ヶ月間、些細なことに胸が鳴ってばかりいた。