「神前、仏前、人前…⁉︎ 結婚式って色んな形式があるんだなぁ〜……」


佐藤ちゃんが要らなくなった結婚情報誌をくれた。
羽田はそれを眺めながら、ブツブツ独り言を言ってる。


明日は佐藤ちゃんの結婚式。

羽田と一緒に呼ばれてるから初めての正装を揃いで着ることになった。



「これでいい?おかしくない?」


試しにドレスを着てみた。
ヘアアレンジは明朝、近くの美容院でやってもらうことになってる。


「いい、いい。似合う、似合う」


どうでも良さげな返事が戻る。


「張り合ないなぁ…」


呟きながら脱ぎだす。


「手伝おうか?」

「いい!遠慮します!」

「即答かよ…」


呆れる羽田に「当たり前でしょ!」と言い返す。

『手伝い』イコール『お触り』だってことは、最初から見抜いてる。




「明日、佐藤ちゃん綺麗だろうなぁ…」


試着したというドレスの写真を何枚か見せてもらった。
実際にどれを着るかは、本番のお楽しみ。


「いいなぁ……結婚……憧れるぅぅ……」


羽田の前で呟くのもどうかと思うけどね。
あの夜以来、一度もプロポーズの言葉は聞かないし。


「お前が親にまだ言うのは早いって言ったんだろ」


まぁ忙しいし、まだ無理だけどな…って、そりゃそうだけど。


「洋平は結婚願望とかあるの?例えばこんな式したい……とか」

「あるある!俺、皆でドンチャン騒ぎやりてぇ!」


居酒屋結婚式とかいいなぁ〜だって。