「もういい…!」


話の腰を折られた菅野が、ムッとしてメシを食いだす。

俺が昨夜言ったことなら自分が一番覚えてる。

でも、今はまだ、始まったばかりだから………




「美結」


「何⁉︎ 」


機嫌悪ぅぅ。
やっぱ猫タイプだな、こいつは。


「実家寄るんだろ。送ってってやるから準備早めにしろよ」

「ホント⁉︎ ラッキー!助かるっ!」


コロッと機嫌直しやがって。単純なヤツだな。


「ついでに仕事場までお願い!」

「そんな余裕あるか」

「ちぇっ、ケチ。でも、実家まで送ってもらえるなら助かるけど…」



「あのさ…」


「ん…?」


箸構えてこっち見てる仕草が可愛い。
昨日の菅野よりキレイに見える気がするのは、俺の目がどうかしてるからかな。


「今夜からペソいねぇけどいいか?寂しくならね?」


「大丈夫!」


ごちそうさま…と手を合わせて立ち上がる。
カチャカチャと食器を重ね、俺の側までやって来た。


「洋平が居るから寂しくないよ。これからもよろしくね!」


チュッ。

頰っぺたにチューして逃げる。
こいつは一体、いつからこんな積極的になったんだ。



「美結〜〜〜!」


「ぎゃーー!!服濡れるから勘弁してーーー!!」


……って、やっぱ変わんねーか。