「んなことあるワケねーだろ!」


少し怖い声を出してこっちを睨んだ。
ピリッとした緊張感を背中に感じて、じっと見つめる羽田の視線を見つめ返す。

ハァ…と深い溜息を吐くと、腕が伸びてきて私の手を握りしめた。


「俺、菅野と一緒に暮らしたい。だから結婚したいって思った」

「病気中に優しくしたから?」

「…それもある」


「あ、なんだ、やっぱり」

「でも、それだけでもねぇ!」


「じゃあ何で?……」

「美結のことが好きだから、だろ!」

「それだけで結婚決めるの?安直過ぎない?」


そりゃ私も羽田は好きだよ。
初めてできた彼氏だし、ファーストキスの相手でもある。
これから先待ってるいろんな初体験だって羽田が相手ならいいかな…って気はしてる。


でもさぁ………


「結婚はまだ先でいいし、ノンビリゆっくり付き合おうよ」


まだ25歳になったばっかだよ?私。つーか、羽田も同い年じゃん。


「俺はさっさとしたいんだよ!」

「どうして?」

「だから、美結のことが好きだから!」


前のめりになって言うセリフ?
そもそも何でそんなに焦るのか全くもって理解不能。



「…悪いけど断る。そんな気にはなんない!」


半ば怒って立ち上がった。
ベッドの上でこっちを見上げる羽田の目は、少しだけ潤んでるようにも見えた。