「…旨ぇ!この唐揚げ!」

「でしょでしょ〜〜!佐々木店長のお兄さん直伝よ〜〜!」


立ち飲み専門のバーで働く佐々木さんの兄さんは、すっかり俺らとも顔見知り。

料理下手で自信のない菅野が頼み込んで、レシピを教えてもらったらしい。



「お前のオリジナルじゃなかったのか。どうりで旨いワケだな…」


呆れながらもパクつくサラダ。
パリパリのじゃこが混ざったサラダは、ドレッシングが旨かった。


「このドレッシングも教えてもらったのか?」

「ううん、このレモンドレッシングは私のオリジナルよ。材料はね……」


レモンに黒胡椒、オリーブオイル…と話しだす。
いつもに増して明るい表情の菅野に、「何かあったのか?」と尋ねた。


「ん?…まぁね」


ニヤッと笑って詳しくは語らない。
話せと言うのに口を割らねーヤツに「お仕置きするぞ!」と脅した。



「お仕置き?どんな?」


できるもんならやってごらん…と逆なでする。
可愛くもねーな…と呟きながら冗談まじりに言ってみた。


「今夜ベッドで一緒に寝かせるぞ!(ジョークだけど…)」


心の声は聞かせず菅野を見ると、箸を口に入れたまま無言になる。

やっぱドン引きか…と笑い出そうとする俺に、菅野の小さな声が聞こえた。




「い…いいよ。一緒に寝ても……」



ドキン!とする言葉に耳を疑う。
振り向いた俺の視線を受け止めて、菅野の顔が赤く染まった。


「ど…どうせもう見られちゃったし……今更拒否るのもナシかなぁ……って………」