「ただいま〜」


ドアを開けるとジュージューという油の音が聞こえる。
揚げ物香りに鼻をひくつかせながら、ビジネスシューズを脱いだ。



「キャン!キャン!」


「お〜、ペソ!お迎えご苦労!」


抱き上げてやると顔をベロベロ舐める。


「待てっ…!たんま…!」


菅野とチューする前にお前とキスかよ。
勘弁してくれ〜〜!



「おかえり〜〜!」


部屋着の上にエプロンを付けた菅野が出迎える。
昨日と違う点としては、着てる物は俺の服だってところだ。


「お前……それ……」


袖の折り返しが小さい。
目をパチクリさせる俺に肩を上げ、菅野が理由を話した。


「油がつくのが嫌だったから借りちゃった!袖伸ばしとけば跳ねた時に熱くもないし!」


ひでぇ理由だなぁ…と呆れながらもニヤける。
指先だけ出してる手が可愛い。
っつーかコレ、やっぱり『萌え』だろ。


「美結〜〜!」


調子に乗って走り寄る。
予測してたかの様にブロックし、菅野が俺を制した。


「ちょ……待って…!着替えてこないと服汚れるよ!!」


羽田はスーツでしょ…と箸で指す。

品がねぇな…と思いながらも着替えに行く。

今朝とは違う雰囲気の菅野に、これまでとは違う印象を受けた。





「カンパーイ!」

「お疲れ〜〜!」


この辺はいつもの俺らと変わりない。
ペソは俺たちの間に座り、ビーフジャーキーに噛り付いてる。