意を決して電話をかけた。
副社長夫人のリカさんは、本屋の近くのカフェに居るから…と言って電話を切った。
書店を出る前、一応鏡の前でメイクを直した。
どんなにキレイにしたところで、あの人に勝てるワケでもないのに。
「お待たせしてすみませんでした…」
オープンカフェで待つリカさんの側へ寄っていった。
ゲージの中からはペソの甘えた鳴き声がする。
「やっぱり飼い主さんがいいのね〜。私だと何処となく緊張してたみたい」
はい…と手渡されるゲージ。
ドアの隙間から顔を覗かせると、ペソの「キャン!」という嬉しそうな声がした。
「お世話をおかけしてすみませんでした。何か困らせるようなことしませんでしたか?」
「何も。とーってもいい子で大人しかったわよ。大人しかったんじゃなくて、元気なかったのかもしれないけど…」
お昼に食べたドッグフードも残したのよ…と教えてくれる。
ペソなりに今日は1日、気を遣ったのかもしれない。
「ありがとうどざいました。それじゃあ私はこれで…」
ぺこん…と頭を下げて立ち去ろうとした。
さっきから周囲の視線が痛くて、少しでも早く逃げ出したかった。
なのに……
「お茶1杯くらい付き合って。折角だから少しお話聞かせて」
(何について…?)
思わず考える。
上手く断る理由も思い浮かばず、その場に留まることになった。
副社長夫人のリカさんは、本屋の近くのカフェに居るから…と言って電話を切った。
書店を出る前、一応鏡の前でメイクを直した。
どんなにキレイにしたところで、あの人に勝てるワケでもないのに。
「お待たせしてすみませんでした…」
オープンカフェで待つリカさんの側へ寄っていった。
ゲージの中からはペソの甘えた鳴き声がする。
「やっぱり飼い主さんがいいのね〜。私だと何処となく緊張してたみたい」
はい…と手渡されるゲージ。
ドアの隙間から顔を覗かせると、ペソの「キャン!」という嬉しそうな声がした。
「お世話をおかけしてすみませんでした。何か困らせるようなことしませんでしたか?」
「何も。とーってもいい子で大人しかったわよ。大人しかったんじゃなくて、元気なかったのかもしれないけど…」
お昼に食べたドッグフードも残したのよ…と教えてくれる。
ペソなりに今日は1日、気を遣ったのかもしれない。
「ありがとうどざいました。それじゃあ私はこれで…」
ぺこん…と頭を下げて立ち去ろうとした。
さっきから周囲の視線が痛くて、少しでも早く逃げ出したかった。
なのに……
「お茶1杯くらい付き合って。折角だから少しお話聞かせて」
(何について…?)
思わず考える。
上手く断る理由も思い浮かばず、その場に留まることになった。