「僕の知ってる人にドッグシッター頼もうか?その方が君も安心して仕事に専念できるだろ?」


ベビーシッターならぬドッグシッターね。
ペソ、あんた出世したね~!


「お願いしてもらってもいいですか?このままじゃ仕事場にも迷惑だし……」


料金は…?と聞き始めると、副社長の早見さんはニコッと微笑んで………


「お金なんか要らないよ。頼むのは僕の奥さんだから」

「えっ……?」  


副社長夫人にドッグシッター⁉
ペソ、どうする~~~⁉




ボケッとからスマホを取り出し、早見さんは電話をかけだした。
少し鳴らして出てきた人に対して、こんなやり取りを始めた。



「もしもしリカ?僕だけど…」


(奥さんの名前、リカさんって言うんだ~。へぇー…)


「今、支店の巡回中なんだけどさ、店員の飼ってる小犬が泣き止まなくて困ってるんだよ。君良かったらその子が仕事上がるまで小犬の面倒見てやらない?ほら、前に飼いたいって言ってた犬いたろ?…ミニチュア何とか…って種類の……」


ミニチュアタックスですよ。副社長さん。


「…そうそう、ダックス!人懐こい犬でね、実際自分で面倒見てみたら分かるんじゃない?飼えるかどうか」


つまり、お試しって意味か。なるほど~。



『見てくれるって…!』


早見さんは電話を離してそう言う。
感謝しながら頭を下げ、通話を終えた彼にお詫びを伝えた。