(もうやってらんない!何よ、一体!)


ダンッ!とテーブルにグラスを置いた。
ビクッとなる羽田とペソの視線がこっちを向く。

半ば酔いかけた状態で、私は言いたいことを言い始めた。


「さっきから何なのよ!私のことはほぼ無視してペソばっか可愛がって!そんなにペソが可愛いなら羽田が飼えばいいでしょ!私よりもペソと居たいんだったらそうすれば⁉︎ 私は実家に帰るから…!」


お邪魔しました…と立ち上がる。勢いに任せてドアに向かう私を羽田が慌てて引き止めた。


「待てっ!お前何言ってんだよ!」


二の腕を掴まれる。
その力が思ってる以上に強くて、思わずビクッとした。

振り向きもしないでドアのバーに手を掛けた私を羽田が勢いよく振り向かせる。


「美結っ!」


帰ってから初めてマトモに顔を見合わせた。

真剣な眼差しを送る羽田に見つめられて、きゅん…と胸が鳴る。



大好きなのに、羽田の気持ちが分からない。

早見さんよりも羽田の方がステキだと思ってるのに、どうしてそれが伝わらないんだろう…。



(好きなのに……何で………)



酔っ払った私に感情のセーブはできなかった。
ぼろぼろと溢れ出す涙は止まらなくて、ペタン…と床に座り込んで泣いた。


グスングスン…という泣き声を聞きつけてペソが走り寄ってくる。

「クゥンクゥン…」と心配そうな声を出す。



「ペソ……」


手を伸ばして体を抱いた。
ふわりと香るジャーキーの香りに、じわっと心が癒される。