すると、けんちゃんは
「頑張れよ」
「えっ……?」
急に優しい表情になるけんちゃん。
「ずっと前からの夢だろ?
芸能人になるの」
「うん」
「せっかく一歩前進したんだ。大変だろうけど…お前らしくやってこい」
けんちゃんの言葉が胸に染み込んでゆく。
暖かいもので心が包まれる感じ―――
「俺は、お前を応援するから」
けんちゃんはそっと微笑んだ。
いつもそうだ。
けんちゃんは私を支えてくれる。
勇気づけてくれる。
元気にしてくれる。
「うんっ!私頑張る!!
ありがとう、けんちゃんっ!!」
おぉ、と軽く返事をした後、けんちゃんはまた参考書に向かった。
私はまたさらにルンルン気分で自分の席に戻った。
「あの2人は…何なんだか……」
ユキナのそんな呟きが、私とけんちゃんに届く事はなかったのです。