時間の流れを、ひどくゆっくりと感じる。
わたしの鼓動のリズムが緩やかだから、体感的に、そう感じるだけなんだろうな。
ちょうど、1年くらい前かな。
2度と迎えられないかもしれない、最後の夏を焼き付けようと決めた時。
あなたがいてくれた事が、どれだけ心強かったか。
朔を抱き締めた夜、わたしはとんでもない事を言ってしまったと、少しだけ後悔をした。
わたしが朔にあげると言った一生は、余りにも短すぎて。
もしかしたら、あなたを支えるものではなく、縛るものになってしまうのかもしれない。
捨てていいよ、大事にしなくてもいいよ。
そう、何度も、言ったのに。
朔が宝ものを抱くように、わたしに触れるから、怖くなっちゃった。
人の為に流せる涙は、世界で1番綺麗なんだって、初めて知ったんだ。
そんな世界で1番綺麗な涙を、わたしにくれて、ありがとう。
忘れないでね、朔。
泣かないように、笑うんだよ。
それでも、泣きたくなった時は
また、笑えるように、泣くんだよ。