言葉がなくても通じ合える関係は、きっとどこかにあるんだと思う。


それはとても素敵な事だけれど、わたしはどうしても信じられなくて。


言葉がなくても伝わるなんて、嘘だと思うの。


本当に伝えたい事は、色んなものに埋もれて見えなくなってしまう。

わたし自身ですら、手を伸ばす事を躊躇ってしまうような、深い場所へ沈んでしまう。


心から、心よりもっと深い所から、伝えたい言葉は、声にしないと伝わらない。


…でも、今のわたしには、伝わるとか、伝わらないとかじゃなくて。


伝えたいんだ。わたしが、お父さんに。ただそれだけ。受け取ってくれる人だと、信じればいいだけ。


けれどもう、わたしには声がないから。

だから、どうか見つけてください。


こんな日が来る事を拒みたかったけれど、どこかでわかっていたわたしが、残した物を。

お父さんに書いた、最後の手紙を。