違う…

違う…

裏切ってなんかない…

高橋先輩はただの先輩で

和樹からの誘いを断ったのは

先輩に会う為じゃない!

どうやったら伝わるんだろう…

何から伝えればいいんだろう…


ーーーーーーーーーーードン・・・・

いろんな事を考えながら歩いていると誰かにぶつかった。

『すみません…』

謝りながら顔を上げると

そこにいたのは瞳先輩だった。

『先輩…』

『優香、どうしたの?

悩み事?話聞くよ!』

それから私は和樹との事を話した。


先輩は頷きながら聞いてくれた。

そして笑って

『大丈夫だよ!

きちんと話せばきっと分かってくれるから!』と言った。

先輩の笑顔を見ていると元気が出てきた。

『先輩、ありがとうございます!

私、頑張ります!』

そう言って私はその場を立ち去った。


『お姉ちゃ~ん!』

帰り道、保育園へ優奈を迎えに行くと笑顔で駆けてきた。

私は優奈と手を繋いで歩いた。

すると優奈は

『優奈、今日ね、お姉ちゃんの絵書いたよ!

みんなはお母さんの絵を書いたけど

優奈にはママがいないからお姉ちゃんの絵を書いたの!

今度お姉ちゃんにあげるね!』

と笑って言った。

私は両親の話をする時

優奈の様に笑って話せないと思う。

優奈はいつの間にか私よりも

ずっとずっと強くなっていた。


家に着いて私はご飯の支度を始めた。

その間、優平と優奈は2人で仲良く遊んでいた。

そんな2人に

『2人共、お風呂入っておいで!』

と声をかけると2人は声を揃えて

『『は~い!』』と返事をして風呂場へ走って行った。



それから少しして晩ご飯が出来上がった。

だけど2人はお風呂から出て来ない。

私はその間に学校の宿題をする事にした。


宿題が終わっても2人は出て来ない。

後1時間したらバイトへ行かないといけない。

風呂場へ行って

『いつまで入ってるの?先に食べるよ~!』

と声をかけると

『待って!すぐ出る!』

と2人揃って慌てて出てきた。


それから私たちは晩ご飯を食べて

布団を敷いた。

『じゃぁ、行ってくるね!』

そう言って家を出ようとすると

優奈が後ろから

『待って!』と呼び止めてきた。

私が振り返ると優奈は

淋しそうな顔で

『優奈も行っていい?』と聞いてきた。


優奈はたまにバイト先へ着いてくる。

きっと心細くなる事があるんだと思う。

『いいよ!』

私がそう答えると優奈は笑顔で靴を履き始めた。

だけど優奈が着いてくると優平は1人になる。

『優平、1人で大丈夫?』

優平に声をかけると

『うん!』

と答えたので私たちは家を出た。


『優奈ちゃん久しぶり!』

バイト先に着くといろんな人が優奈に声をかけてくれた。

優奈もみんなの真似をして笑いながら

『お姉ちゃん、久しぶり~!』とか

『お兄ちゃん、久しぶり~!』

と言っている。

そんな光景を見ていると頬が緩む。