『先輩、おはようございます!』

『優香、おはよう!』


梶川 優香(カジカワ ユウカ)。

高校1年生。

中学生の頃から憧れの

春川 瞳(ハルカワ ヒトミ)先輩を追って

この高校に入学した。

先輩は綺麗でとても優しい人。

いつも笑って話を聞いてくれる。



私は3人兄弟。

弟の優平(ユウヘイ)は小学4年生。

妹の優奈(ユウナ)は5歳。

どこにでもいる普通の兄弟。

だけど私たちには親がいない。

私たちは4年前の夏

両親に捨てられた。

そして親戚の家でお世話になった。



当時、私は小学6年生。

年長の優平と1歳になったばかりの優奈は親がいない事が淋しくて毎日泣いた。

そんな2人の泣き声を聞くと

おばさんは必ず私に

『静かにさせなさい!近所迷惑でしょ!?』と怒鳴った。

もし追い出されたら私たちには行く所がない。

だから私は3年間耐え続けた。


そんな毎日を送っていた私に

優しく声をかけてくれたのが先輩だった。

『あなた何て名前?』

『梶川 優香です…』

私がそう言うと先輩は笑って

『私は春川 瞳!ヨロシクね!』

と言った。

私は先輩の笑顔を見るだけで元気が出てきた。

そして私もそんな人になりたいと思った。

この時から先輩は私の憧れ。

そして、中学を卒業した日

おばさんが私に

『中学校も卒業したんだし

働いてこの子達を育てていけるでしょ?

いつまでもうちにいられたら迷惑だわ。』と言った。

そして次の日から

私たちはその家を出て

アパートで3人で暮らす事にした。


『優平!優奈!早く起きて!』

私は毎朝3人分の朝ご飯と

自分と優奈のお弁当を作る。

優平は学校で給食が出るから

お弁当は必要ない。

朝ご飯を食べて優平を送り出して

優奈を保育園まで送って行く。

それから急いで学校へ行く。

学校へ着くのはいつも時間ギリギリで遅刻する事もよくある。

この生活になって7ヶ月が過ぎたけど全然慣れない。