誰かがあたしの名前を呼ぶのに気がついた。

この声…
止まって周りを見渡すと、咲ちゃんを見つけた。

やっぱり咲ちゃんだ!

『咲ちゃん‼︎』

咲ちゃんはあたしに気づくと、凄いスピードで走ってきて、
「ルカ!怪我はない?!」

『うん。もう会えないかと思ったよ〜。』

あたしは半泣きで咲ちゃんに抱きついた。

「もー。どこ行ってたのよ!探したのよ?」

『ごめんなさい…。』

「よしよし。もう勝手にフラフラしちゃだめだからね?」

なんだか咲ちゃんがお母さんであたしは迷子の子供みたい。

咲ちゃん、本当に優しいな。

「大丈夫?ルカ。」

『うん。咲ちゃん、お母さんみたいっ。大丈夫だよ。うん。多分。』

少し大丈夫…じゃないかも。
あの男の子のせいだ。

「お母さんって…。それより多分って、何よ。何があったの?!」

『あのね………』

あたしは数分前の、目が回るような出来事を咲ちゃんに話した。
あのムカつく、あいつのことも。
咲ちゃんはあいつの事を、

「カッコイイ!王子様みたい‼︎」
って言うけど…。

あたしには王子様という殻をまとった変態にしか思えない!


今度会ったら、絶対に文句言ってやる!