「今日この学校に引っ越してきた神垣零さんです。」
使い古された黒板に歩くたびメキメキ音の鳴る床
「よろしくお願い致します」
一気に私に目線が集まる、小学生の頃国語の物語の主人公が玲という名前で読み声の時いつも私の方に視線がいった
何年ぶりの視線に少し頭を下げる
「あ!コイツ俺しっちょる。」
色々な所に絆創膏を貼ってる、きっとうるさいのだろう
少年は予想通りに元気よく手を挙げた
ああ、意見を言うには手を挙げるんだ
「えあ、はい。私一回だけ水泳大会出ましたけどそのときに?」
私も同じく手を挙げて意見をいった
この子も関東の方にいたのだろうか
「違う、雑誌でみた。お前の父親のせいで俺のおやじは死んだ」
私は思わず顔を手で覆った
(なんでこの子が私のことを?雑誌って何年前よ..。)
「海人の親って殺されたっちゃろか」
「犯罪者?ってマジか、ありえんね」
今自分の顔の表情を心配しているぐらいだから
きっとまだ自分は余裕があるのだろう
だれも自分の親が犯罪者など言われて
嬉しい人なんていない
「犯罪者とは、文字通り罪を犯した人のことです。神垣さんのお父さんは犯罪者ではありません、勿論罪を犯した人の子供でもそれは子供には関係がありません」
先生の発言に教室は静まり返った
「天野さん、神垣さんに謝ってください。天野さん昼休み職員室へ来てください」
「俺、ごめん。」
「何自分に謝ってんの!普通零ちゃんに謝るやろ」