映画館は意外と混んでいて、あたしは涼 平とはぐれそうになった。 そしたらさ、それを察したのか、涼平が あたしに手を差し出してきたの。 そんな仕草に、思わず胸が傷んだ。 「美奈、はぐれるから」 「あ、うん。ありがとう」 涼平に手を握られて、あたしの顔は赤く なった。